理容ミュージアム

丸手鏡 藤原光長銘 鶴亀松

Round Hand Mirror, Inscribed by Mitsunaga Fujiwara

この和鏡の裏面には、鶴(つる)と亀(かめ)が松(まつ)の木の下に配された、鶴亀松図が精緻に鋳造されています。鶴と亀は「長寿」、松は「不老長寿」の象徴であり、これらの吉祥文様は、鏡の所有者の幸福と永遠の繁栄を願う意味が込められています。

鏡師「藤原光長」の銘

鏡の裏面には、「藤原光長作」という銘(作者名)が刻まれています。これは、この鏡が鏡師(かがみし)と呼ばれる専門の職人集団によって作られたことを示すものです。彼らは、高度な鋳造技術と表面を磨き上げる研磨技術を代々継承していました。

結髪文化における手鏡

江戸時代の髪結い床(理容店)や家庭において、この柄付きの和鏡は、女性が結い上げた髷(まげ)や、鬢(びん)の張り出し、髱(たぼ)の形といった日本髪の仕上がりを、客自身が後方や側面から確認するために不可欠な道具でした。

この鏡は、当時の人々の身だしなみへの関心と、職人の高い工芸技術、そして吉祥を願う文化が一体となった、美術的にも歴史的にも価値の高い資料です。

タグ
年代 江戸中期以降
用途 髪型や顔の身だしなみを整えるための手鏡。
分類
寄贈者 日本理容七和会